ハンドツールと一口に言っても、長さや太さなど非常に様々な種類が有り、作業にベストと思われる工具を見つけるには苦慮する場面も多々あるのではないかと思います。


今日は多様な種類が有るハンドツールの中でも、特に間違いやすい規格(形状)についてご紹介させて頂きたいと思います。

最初にお話させて頂く規格はこちらです!

画像には2本のPB SWISS TOOLS(ピービー)ドライバーが映っていますが・・・
一目見てその違いに気が付かれる方も多いのではないかと思います!
一見プラスドライバーの様に見えますが、良く見るとプラス溝の間に更に山が設けられた形状をしている規格があります。この規格はポジドライブと呼ばれ、英国EIS社が特許を持つ形状で、プラスドライバーのカムアウトをより抑える事を目的に考案された形状となっています。

アップで見るとお分かり頂けると思いますが、プラス溝先端からの角度や溝の厚さ等も若干異なっているので、互換性は有りません。あまり見かけない様に感じられるポジドライブですが、(旧年式の)英国車や家具、スキーやスノーボードのビンディング固定などにも使用されています。

次の規格はこちらです!
(U.S.)インチとBS(ブリティッシュインチ:英国規格)です。大きさとしては異なるのですが、意味合い的にはウィットワースとも言われているのではないかと思います。
「同じインチサイズなのに大きさが違う???」と思われる方もいると思いますが、U.S.インチの1インチが25.4mmなのに対し、ブリティッシュインチ(BS)は約45.2mm、ウィットワース(W)は約53.4mmとなります。

画像のソケットはKoken(コーケン)のブリティッシュインチソケットですが、サイズ表記の部分をよく見ると「3/8BS 5/16W」と刻印されています。
ブリティッシュインチとウィットワースは、1インチの大きさがそれぞれ異なるものの、3/8BSをミリに換算すると約15.24mmとなり、また5/16Wをミリに換算するとこちらも15.24mmとなります。
従って、ソケット下部のサイズ表記に2個の異なる規格サイズが記されている訳です!
因みに、U.S.インチの3/8”は約9.5mmとなります。

次なる規格は???
画像にスプライン形状に似たソケットで、どちらも同じ形状に見えますが、実は異なるのです。
画像の左側のソケットが「ダブルヘックス(Double Hex)」、右側が「トリプルスクエア(Triple Square)」となります。同じ12角形状となっているので、パッと見、違いが分かり辛い規格でもあります。

アップで見るとその違いは明確です。
ダブルスクエア(左側)の1角の角度は120°となり、これはHEX(ヘキサゴン)レンチ(ソケット)と同じ角度となります。一方右側のトリプルスクエアは1角が90°となり、ダブルヘックスよりも鋭角なのがお分かり頂けると思います。
実は規格の名称はこの違いから来ているのです。ダブルヘックスとはHex(6角)を30°回転させた形状(6角x2=12角=ダブルヘックス)となり、トリプルスクエアはSquare(4角)を30°ずつ回転させた形状(4角x3=12角=トリプルスクエア)となっています。
因みにダブルヘックスは、良く国産車のヘッドボルトなどに使用されており、トリプルスクエアは欧州車の各所に使用されています。

最後の規格はコチラです!
良く見かけるソケット形状ではないかと思いますが、(左画像)左端からトルクスプラス(TORX PLUS)、リブCVビット(Rive-CV)、トルクス(TORX)となります。
トルクスは良く知られている形状ではありますが、このゴールドビットはSnap-on(スナップオン)で設定されている強化トルクスという形状で、通常ビット先端の角の部分は面取りされているのですが、このビットは面取りされていません。
トルクスネジ/ボルト側の形状によっては、この強化型トルクスの方が接触面積が増し、より大きなトルクを加えられる場合もあります。

こちらがトルクスプラスのアップ画像です。
同じトルクスという名称を含みながらも、形状は全く異なります。
このトルクスプラスは、既存のトルクス規格から形状を進化させた形状となります。
トルクスの山の部分を強化(太く)した事で、山と谷の部分が目視ではほぼ同じ幅の様に見えると思います。これによってトルクスよりもより大きなトルクを加えても、ビス/ボルト側のトルクスプラスが崩れにくくなっている様です。 まだまだ使用されている箇所は少ない様に思えますが、車両で言うならば、駆動系(内部)等に使用されている印象が有ります。

トルクスプラスと似ている様に思えて、アップで見ると全く異なるのが、こちらのリブCV(Rive-CV)です。この規格はかなり以前から存在する規格で、トルクスプラスが現れるかなり前より使用されていました。この規格はアルファロメアやランチア等のエンジン(ヘッドボルト)メンテナンスを行っているプロメカさんから良くお問い合わせを頂いた記憶が有ります。
最近は少なくなりましたが、ごく一部のメーカーしか設定が無いサイズを言われた事もあり、本国からの取り寄せで数か月お時間を頂いた事も有りました。。。
他にも分かり辛い規格やサイズが有ると思いますので、もしご質問など有りましたら、両店スタッフにお問い合せ下さい。(その際には画像を見せて頂けると非常に助かります!)

本日も最後まで御覧頂きまして、本当に有難う御座います。